2006年から林家たい平さんと共に加わった新しいメンバーながら、歌丸さんの跡を継いで司会となった春風亭昇太さんは、「あまりいろいろなことを気にしないで、昇太さん、好きにやってくださいよ」と、声をかけられたという。

「すごく優しい言い方をしてくださって、とてもありがたかったです。もっと休んでゆっくり仕事をしてもらいたかった。立派な人生だったと思います。かっこいい人だと思います」(2日夜、独演会後の取材から)

 笑点の大喜利は独特な設定だ。お互いの個性をぶつけ合い、丁々発止のやりとりから笑いを呼ぶ。

 林家たい平さんはメンバーになった直後、歌丸さんから「大喜利というのは、ハーモニーなんだよ」と、言われた。大喜利で笑いをとれなかった時期に、「俺を墓に入れてもいいし、それで笑いがとれるならどんなことをやってもいい」と叱咤されたことを、出演した24時間テレビであかしたこともある。

「暗闇の中から引っ張り上げてくれたような気持ちだった」と、その時の気持ちを話した。

 古典芸能である落語の世界は礼儀に厳しい。楽屋での振る舞いは先輩への配慮が大事なのはもちろんだが、

「ひとたび高座に上がったら、遠慮は無用だ」

 と歌丸さんは話した。

次のページ