桂歌丸さん (c)朝日新聞社
桂歌丸さん (c)朝日新聞社

 桂歌丸さんが7月2日に亡くなってから初の放送となった8日の「笑点」(日本テレビ)では、番組内で追悼の意が表された。落語界をけん引し続け、多くの人に慕われた歌丸師匠を悼む声は、いまだやむことはない。

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「まるで芸の戦士のように。しかも、最後まではっきり、しっかりとした口調で、芸人の最期はいろいろあろうかと思いますが、誰も真似のできない、不屈の精神、見事な噺家人生であり、我々にお手本を示していただきました」

 とは、桂文枝さん。

 晩年は酸素吸入のチューブを着け、座ったまま幕を開ける「板付」でも高座にあがり、またファンも喜んだ。文枝さんが言うように、朗々とした声だった。

 新作派の一門にいながら、ひとり古典落語を追求した歌丸さん。若手を応援すると同時に、芸に対する安易な姿勢には厳しく疑問をなげかけるなど、最後まで、落語の未来を考えていた人でもあった。

 歌丸さんに贈られた言葉から、故人を偲んでみたい。

■気配りの人

 人気テレビ番組「笑点」にスタート時から参加していた歌丸さん、最後の10年間は司会者として番組をもり立てた。

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