小島:霞が関もメディアも、セクハラ・パワハラは仕事の一部だから我慢して当たり前といった風土があったのではないかと指摘されています。セクハラに対する意識を高めるだけではなく、メディアや霞が関の働き方自体をハラスメントが起こらないように変えていくということでしょうか。

野田:グローバルに仕事しなければならない企業は、すでにこんなことは当たり前のことなんです。ところが今お話にあった霞が関、永田町、メディアというのは「超ドメ」なんですよね。

小島:ドメスティックの極みです。でもこの三つが制度を作り、空気や文化みたいなものも作ります。

野田:この三つの組織に共通しているのは、女性比率が少ないことです。メディアも上のほうには女性がほとんどいない。衆議院は1割しか女性議員がいず、世界中から批判されている。霞が関の官僚トップも、女性は消費者庁長官と人事院総裁くらい。まずはやっていなかった研修をやるというのが、悲しいですがスタートライン。次に、研修を受けていることを内閣人事局でちゃんとチェックする。それが出世できるかどうかのジャッジにつながります。

小島:女性活躍というと「女ばっかり」とか「男が割を食っている」など、男女の対立になってしまいますが、男性にとってもいいことです。野田さんは永田町ですごく少数派で、また女の意見ばかり、などと言われるんじゃないでしょうか。

野田:ずっと少数派ですが、どうにか生きながらえてきました。最近寂しいのが、私を信頼してくれている男性議員が「セクハラとか女性政策のことばかりやって、総裁選の時に野田聖子という候補者はそれしかできないと永田町や霞が関やメディアが受け取るんじゃないか」と心配してくれている。

小島:でも総裁選で、夫婦別姓などについて野田さんの発信がなくなってしまうと困ります。

野田:私はセクハラや選択的夫婦別姓の問題を、女性政策だと思っていません。この国の国策だと思っている。これを変えていかないと次の日本は出現しないというアイテムの一つです。こんな少子化国家はないし、こんな人口減少国家もない。今の日本で一番必要とされているのが当たり前の経済政策じゃないことは、私たちは百も承知です。いままで使ってこられなかったポテンシャルを使いきることが大事で、その代表格が女性だと思います。

小島:永田町に女性を増やすうえで、いわゆるパリテ法、候補者男女均等法ができたのは大きな一歩ですね。

野田:大変なことです。理念法だといいますが、法律というのは強烈です。この国は法律に従う国民性なので、法律ができるとどんどんそっちのほうに進んでいきます。それを期待します。

(構成/編集部・小柳暁子、上栗崇)

AERA 2018年7月2日号より抜粋