6月18日に朝日新聞東京本社読者ホールで開かれたAERAトークイベント「“女と男 その先へ” セクハラ・パワハラと働き方改革を考える」(朝日新聞出版主催、朝日新聞社後援)には一般から134人が参加。野田聖子さん(右)と小島慶子さんに、ファシリテーターとして井原圭子アエラ編集長も加わり、解決策を探った(撮影/写真部・小原雄輝)
6月18日に朝日新聞東京本社読者ホールで開かれたAERAトークイベント「“女と男 その先へ” セクハラ・パワハラと働き方改革を考える」(朝日新聞出版主催、朝日新聞社後援)には一般から134人が参加。野田聖子さん(右)と小島慶子さんに、ファシリテーターとして井原圭子アエラ編集長も加わり、解決策を探った(撮影/写真部・小原雄輝)

 セクハラやパワハラの問題を、性差や立場を越えて解決する方策は──。野田聖子総務相兼女性活躍担当相とエッセイストの小島慶子さんが対談した。

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小島慶子(以下、小島):(財務省の前事務次官によるセクハラ問題を受け)6月12日に野田さんが主導して各省庁幹部へのセクハラ研修の義務化などを柱とした対策をまとめました。これはどんな思いで作られたのでしょうか。

野田聖子(以下、野田):やるべきことをやれていなかったという思いです。セクシュアル・ハラスメントの被害者は9割女性ですが、加害者といわれる男性も、社会的に失うものがとても大きい。私も息子を持つ母として、男性のためにもしっかりコンセンサスを作っておかなければという思いがありました。男女雇用機会均等法や人事院の規則がなぜ生かされなかったのか。今後二度と起きなくするためにどうすればいいのか。そういうことでスタートしたのが、今回の再発防止策です。

小島:企業で研修をやっても結局理解できず、無意識にセクハラやパワハラをやってしまう人がいます。どうしたらそういう人たちにわかってもらえるのでしょうか。

野田:今回の一番の問題は幹部公務員によるセクハラということです。人事院が研修の場を設けていますが、もっぱら若手が対象です。ハラスメントというのは権力を持っている人が持っていない人に対して起こすケースがほとんど。なのに若手のように双方に権力が発生していない時には念入りに研修をやり、そのあと幹部にはほとんどやっていなかった。肩書が上がれば上がるほど、本当は誰よりも学ばなければならなかったのに、全く学んでこなかったわけです。

 いままでそこそこ経済力もあり、優秀な人材もこの国の中にたくさんいましたから、国際社会の中での当たり前を学ばなくても自分たちでどうにかできた。しかし今後人口減少で企業も海外に行かないと利益が得られないとか、外国人の方たちのサポートがないと成り立たないといった仕事が増えてきます。これから本格的に国際社会の一員となるためには、このハードルを乗り越えないといけないと思います。

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