「AERA 2011年11月7日号」表紙の羽生結弦 撮影・坂田栄一郎。羽生の激闘のすべてを追いかけた「AERA増刊 羽生結弦」(定価980円)が好評発売中
「AERA 2011年11月7日号」表紙の羽生結弦 撮影・坂田栄一郎。羽生の激闘のすべてを追いかけた「AERA増刊 羽生結弦」(定価980円)が好評発売中

「王者になる。まずそう口に出して、自分の言葉にガーッと追いつけばいい」

【写真】まさに胸キュンの瞬間!平昌五輪での羽生結弦

 16歳の羽生結弦の言葉だ。

 平昌五輪で見事、男子フィギュアスケートの金メダルを獲得し、66年ぶりの五輪2連覇を果たした羽生が、今から約9年前の「AERA 2011年11月7日号」表紙撮影で語ったこととは? 当時のインタビューをそのままに、掲載する。

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 線の細いしなやかな体つき。女子顔負けの柔軟性。そしてあどけない笑顔。思わず「可愛い」と言いたくなるが、口を開けばキャラは一転。

「『いい演技をするのが目標』なんて謙遜する選手が多いけど、完璧な演技で負けたら屈辱的でしょ! 僕は勝ちたい」

 この潔さが心地いいのだ。

 快進撃の始まりは12歳。全日本ジュニアで3位となり、15歳でジュニアの世界王者に駆け上がった。シャイな日本男子の中では珍しい、演技に入り込む表現派。シニアデビューの昨季は、試合で4回転ジャンプも成功させた。

 原動力は負けん気だ。2010年11月のロシア杯。世界最高のスケート技術を持つと言われるパトリック・チャンと一緒の練習で、とった行動は「追跡」。滑る軌道やエッジの使い方を盗むためだ。

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