さらに、抗PD-1抗体とは逆に、PD-L1分子に作用して結合を阻害する抗PD-L1抗体の開発も進められている

 免疫チェックポイント阻害薬は、がん治療で第4の柱と期待される免疫療法でもある。最近では、米国で治験が始まった「近赤外線光免疫療法」にも期待が高まっている。

 米国立保健研究所(NIH)の小林久隆氏らが開発したこの方法は、がん細胞の表面にある突起物だけに結合するたんぱく質(抗体)に「IR700」という色素をのせて静脈に注射する。抗体はIR700と共に体内を巡り、がん細胞表面の突起を見つけると結合。ここに体外からや内視鏡を使って近赤外線を当てると、IR700が化学反応を起こしてがん細胞が破壊される仕組みだ。

 楽天は、この治験を米国で実施中のアスピリアン・セラピューティクス社に出資している。日本法人を通じて、再発頭頸部がんを対象に、3月から国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で治験が開始される予定だ。(ジャーナリスト・塚崎朝子)

AERA 2018年2月12日号