化学療法(抗がん剤)で注目されたオプジーボ(一般名・ニボルマブ) (c)朝日新聞社
化学療法(抗がん剤)で注目されたオプジーボ(一般名・ニボルマブ) (c)朝日新聞社

 進化を続けるがんの治療技術。それは外科療法、放射線療法だけでなく、抗がん剤の分野にも及んでいる。さらに、米国では新たな治療法も登場している。

 外科療法、放射線療法と並び、がん治療の3本柱である化学療法(抗がん剤)も変化の著しい分野である。

 免疫チェックポイント阻害薬は、先駆けとなったオプジーボ(一般名・ニボルマブ)に続いて、キイトルーダ(一般名・ペムブロリズマブ)も17年に承認された。これら二つの薬剤は、抗PD-1抗体と呼ばれる。

 免疫細胞の表面にはPD-1という分子があり、がん細胞の表面にはそれと対となる形でPD-L1という分子が出ている。本来、免疫細胞は異物を攻撃する役割を持つが、PD-1分子が、がん細胞のPD-L1分子と結合すると、がん細胞を異物とみなさなくなり、免疫機能が無力化されてしまう。がん細胞はこうして免疫細胞の攻撃を避け、増殖していく。抗PD-1抗体は、この二つの分子の結合を阻害するため、PD-1分子に作用する薬剤だ。これにより、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようになる。

 キイトルーダを使うためには、投与前にがん細胞の生検(がん細胞を直接採取して調べる検査)を実施し、PD-L1発現量を確認しなければならない。最初の薬剤投与の1次治療の場合はPD-L1発現が50%以上(2次治療は1%以上)ある人が使用の条件となっている。この条件に該当すれば、治療効果が高まると期待されている。

次のページ