生きている菌を相手にする味噌づくり。安定的に製造し続けるためには、職人の熟練の技が欠かせない(写真:マルコメ提供)
生きている菌を相手にする味噌づくり。安定的に製造し続けるためには、職人の熟練の技が欠かせない(写真:マルコメ提供)
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 味噌、しょうゆ、日本酒、みりん、酢……。どれも和食に欠かせない調味料だが、これらをつくる上で必要なのが「麹菌」(A・オリゼー)だ。カビ菌の一種で、たんぱく質をうまみ成分のアミノ酸に、デンプンを甘み成分のブドウ糖に分解。味噌やしょうゆ独特の香りやうまみ、日本酒の華やかな甘みを生み出している。その長年の「功績」が認められ、2006年に日本醸造学会によって「国菌」として認定されたスゴイやつなのだ。

 縁の下の力持ち的な麹菌だが、実は元々自然界に存在した菌ではない。麹菌を30年以上研究する日本薬科大学の北本勝ひこ教授によると、ゲノム解析の結果、なんと元の姿は猛毒・アフラトキシンを出す可能性がある“荒くれ者”の野生菌(A・フラバス)だったことも明らかになった。この菌を「もやし屋」と呼ばれる「種麹屋」が数百年かけて飼いならし、無毒に改良した説が有力という。

 さらに、現存資料で最古の麹屋の存在を確認できるのは1246年。京都の石清水八幡宮の資料に、麹の販売場所を巡る業者間の争いが起こったとの記述も残る。

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