“加害者”の家族となり、生活が一変する人達がいる(※写真はイメージ)
“加害者”の家族となり、生活が一変する人達がいる(※写真はイメージ)

 家族が犯罪者となったことで“加害者”の家族となり、生活が一変する人達がいる。好奇の目にさらされ、マスコミに追われ、自殺を考える人も少なくないという。『息子が人を殺しました─加害者家族の真実』(幻冬舎新書)の著書がある阿部恭子(きょうこ)さん(40)はNPO法人「ワールド・オープン・ハート」(仙台市)を立ち上げ、犯罪加害者家族の支援に取り組むが、支援には異論もある。加害者家族を取り巻く現実を取材した。

 阿部さんによると、こんなケースがあったという。

 B子さん(40代)は、ある日突然、夫が殺人容疑で逮捕された。その日から、自宅周辺に連日マスコミが押し寄せ、自宅の壁には「殺人者の家」と落書きされた。自宅には住めなくなったB子さんは、幼い子どもと親友宅に身を寄せる。ある日、自宅に忘れ物を取りに帰ると、近所の人に見つかり言われた。

「あなたが悪いわけではないのはわかるけど、マスコミのせいで近所も迷惑してる」
「昼間にウロウロされるとマスコミに気づかれるから来ないで」

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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