いま一番つらいのは、娘が置かれている状況を想像することだという。娘は拘置所に収容されているが、外の音も聞こえないような狭い部屋で長い1日を過ごしている。娘は精神的にかなり弱っている。C子さんは、パートや介護に追われる毎日の中、遠方の拘置所に足を運び、娘の様子を見るようにしている。

 いずれ娘は刑期を終えて出てくる。その後は、全力で支えていくつもりだという。

 別れ際、C子さんに、加害者家族になったことで自殺を考えたことがあるかと質問した。

「私は死ねないです」

 即答した後、こう続けた。

「母は強し、です」

(編集部・野村昌二)

AERA 2018年1月22日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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