多くの加害者家族は、身内が事件を引き起こした事実に自責の念に苦しめられる。だが、自分を苦しめる原因となった家族を守ることができるのも、同じ家族なのかもしれない。

 東日本に住むC子さん(50代)の娘(30代)は、当時交際していた男性を別れ話が原因で傷つけ、逮捕された。テレビで娘の顔と実名、年齢、住所まで流れた。

 被害者への謝罪、仕事、家族の今後……。様々なことが頭を駆け巡ったが、もっとも心を砕いたのが、娘の今後だった。

 C子さんは、これまで成人した子どもが起こした事件で親が謝る姿をテレビなどで見てきて、不思議に思っていた。なぜ成人した子どもの責任を親がそこまで背負うのか、と。だが実際に自分が犯罪加害者家族になると、考えが変わった。

「被害者の方への謝罪は当然しなければいけません。だけど、娘を一生守っていこう、守ってあげなければいけないという心情になりました」

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