ジェーン・スー/1973年、東京生まれ東京育ち。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍中 (c)朝日新聞社
ジェーン・スー/1973年、東京生まれ東京育ち。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍中 (c)朝日新聞社
2017年11月28日開催「ワーキングウーマンのための
2017年11月28日開催「ワーキングウーマンのための"新ライフマネジメント論"」イベントには200人超が集まった

 2017年11月28日に東京・日本橋にて、働く女性を応援するAERA(朝日新聞出版)のプロジェクト「ワーキングウーマンのための“新ライフマネジメント論”」が開催された。参加してくれたのは、20代~60代の女性約200名。AERAでもコラムを連載中のジェーン・スーが「人生は臨機応変!!」について講演した。

【写真】講演の様子はこちら

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 参加者のみなさんから事前にもらった質問のなかに、『将来の問題』として、「老後の不安」、「何歳まで働くのか」、「将来のために何が必要かわからない」というものがありました。老後に必要なお金って計算したことある方はいらっしゃいますか? 必要なお金を計算するのは大事です。できる範囲で貯める方法を考えるのも大事だと思います。

 計算するとゾッとします。現時点で月にいくら使っているか、そこからどれくらい省エネでいくかを決めて、それに12で掛け算をする。私たちの平均寿命は85歳といわれているじゃないですか。でも、だいたい90過ぎまで生きるらしいです。65歳から計算したら、あと25年あるんですよ。それを掛ける。

 二人で年間300万で済んだとしても、25年で7500万掛かるわけですね。さらに、入院したりとか、特別費用がかかるじゃないですか。しかもハイパーインフレが起きたら全然足りない。

 私、こないだ未来予測の限界を感じました。どこで感じたかというと、車のナビです。車のナビって、目的地を入れると到着時間何時何分って出る。「それなら間に合うな」と思うんですが、車が走っているうちにじゃんじゃん到着時刻が変更されるんです。「最初にこう言ったじゃん!」というのはナビには通用しない。今ある材料で予測はできますが、別の外的要因が加わって、渋滞が起こる、事故が起こるという場合には変わります。老後もこんな感じかなと思いました。

 40歳を過ぎたころから、死の背中がちょっと見え始めました。目が見えにくくなるとか、食べたものの消化が遅いとか。「あっ、この先に死があるぞ」って思うんですよ。だけど臨機応変にやっていくしかない。将来何が必要か分からないのと合わせて考えると、備えつつその都度取捨選択していくしかないなと思っています。

 私は過去に3回転職したんですけど、今回は未経験の仕事だから年収を下げる転職でもOKとか、今回は同じ業界だから給与の交渉を頑張るとか、捨てるものと得るものを明確にしてやってきました。それは比較的功を奏していると思います。

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