番組で取り上げるテーマも、ネットに精通した20〜30代に刺さるようなものが多い。この日は「AI×報道の未来は?」と題し、記者ゼロの通信社「JX通信社」の衆院選情勢調査について特集。SNS上の事件や事故に関連する投稿をAIがチョイスし、プッシュ通知でニュースを配信する同社のサービス「FASTALERT(ファストアラート)」の情報をもとに、ディレクターが兵庫県明石市で起きた火災現場に飛んでリポートした。

 番組のキャッチコピーは「オトナの事情をスルーする」。曜日ごとに決められたテーマには「炎上上等」「聖域なし」など刺激的なフレーズが並ぶ。AV女優や元暴力団組織の長をコメンテーターに起用していて、既存メディアなら躊躇しそうだ。前出の植村さんがキャスティングで重視するのは、

「とかく難しくなりがちなニュースを自分の言葉で語れるか」

 最近では、フジテレビで問題になった「保毛尾田保毛男」騒動をLGBT当事者と話し合うコーナーに1時間半を費やした。白熱すれば番組の尺を10分延長することもある。「ディスカッション」はそれくらい、重視している要素。番組開始当初から出演する元NHKアナウンサーの堀潤さん(40)も言う。

「徹底的に議論できるのがアベプラの魅力です。『偏向報道』『一部を切り取っている』などマスコミに向けられた不信感を払拭するには、多角的に報じるための十分な尺と、活発なディベートしかないと感じています」

 インターネットテレビには放送法は適用されないが、基本的にはテレビ朝日の基準に基づいた番組づくりをしているという。(編集部・竹下郁子)

AERA 2017年11月13日号