「飲み過ぎているという自覚がありませんでした。家で飲み始めると歯止めが利かなくなります。あのまま飲みつづけていたら、もしかしたら依存症になっていたのかもしれません」

 とこの女性は話す。

「総合診療科に来院する男性患者の2割、女性患者の3~4%はなんらかのアルコールの問題があると言われています」

 と筑波大学附属病院総合診療科講師の吉本尚医師は説明する。かぜや予防接種、健康診断などの理由で来院する人で、アルコールのリスクがこれまで見過ごされてきたという。

「依存症のリスクがある人は少ないですが、アルコールの飲み過ぎで、気づかないうちに肝臓などの健康状態に問題が出るリスクがあるので、アルコール量のチェックや指導をしています」(吉本医師)

 アルコール依存症の患者はもともと男性が多いが、近年懸念されているのが、女性の飲酒者の増加だ。女性は出産や子育てで、断酒や節酒をするため継続して飲まないとされてきた。だがここ10年ほどで20代女性の飲酒率が増加。自分の適切な飲酒量は案外わからないもの。気になったら、医師に相談してはどうか。(編集部・長倉克枝)

AERA 2017年1月30日号