総合診療科で行うアルコール依存への取り組みとは(※写真はイメージ)
総合診療科で行うアルコール依存への取り組みとは(※写真はイメージ)

 アルコール依存、薬物依存などの依存症は、生活習慣などではなく、病気だ。個人の意志や心がけなどで対応できるものではなく、治療が必要なもの。近年、医療現場ではさまざまな試みが行われている。AERA 2017年1月30日号では、依存症治療の最前線を大特集。

 アルコール依存症ではないが、飲酒による健康への支障がある人やそのリスクが高い人は、1千万人いると言われている。ここ数年で、総合診療科で飲酒量をチェックしたり、量を減らす指導をしたりするといった取り組みが広まっている。

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 三重県在住の女性会社員(45)は2年半前、低血圧と尿回数の多さのため、三重大学病院の総合診療科を受診した。問診や検査を受けるうちに、

「飲酒量が多いのでは?」

 と、医師から指摘を受けた。

 もともとお酒は好きではなかったが、営業職に転職するとストレスもあり、5年ほど前から自宅で夫と晩酌をするようになった。25度の焼酎一升瓶をひとりで週に2本空ける。日本酒好きの夫は少量をゆっくり飲むタイプ。一緒に飲んでいると、自分が多量の飲酒をしているとは思いもよらなかった。

 医師の指導で、まず週に一升瓶1本に減らした。最初の1カ月ほどは、「これ以上飲んではいけない」と思うのがストレスになったが、すぐに慣れた。

 気づいたら、1日20回あった尿回数は通常まで減り、最高血圧80の低血圧も、95程度まで上がった。体のだるさや、ひどい頭痛が起こることもなくなった。今では飲酒量は月に一升瓶2本になった。

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