右が初心者向けで、左が熟練者向け。ソールの厚さの違いが一目瞭然。初心者は衝撃吸収力を重視すること (撮影/写真部・長谷川唯)
右が初心者向けで、左が熟練者向け。ソールの厚さの違いが一目瞭然。初心者は衝撃吸収力を重視すること (撮影/写真部・長谷川唯)
プロ・ランニングコーチ 金哲彦さん/1986年にリクルート入社後、ランニングクラブを創設。92年には小出義雄監督率いる同クラブのコーチに就任し、有森裕子ら数々の名選手を育てる。現在、コーチのほか、解説者としても活躍中 (撮影/写真部・長谷川唯)
プロ・ランニングコーチ 金哲彦さん/1986年にリクルート入社後、ランニングクラブを創設。92年には小出義雄監督率いる同クラブのコーチに就任し、有森裕子ら数々の名選手を育てる。現在、コーチのほか、解説者としても活躍中 (撮影/写真部・長谷川唯)

 これからランニングを始めたいという人は、何に気をつけたらいいのか? 金氏のアドバイスをもとに、“正しい市民ランナー”への道を模索したい。

<STEP1 ウォーキング>

 健康のため、美容のため、ダイエットのため──。さまざまな理由でランニングにいそしむ人が増えている。だが、ただ走るだけでは、効果は上がらない。

 プロ・ランニングコーチの金哲彦氏が話す。

「悪いフォームで走り続けると膝や腰などの関節を痛めて、故障につながる可能性があります。負荷をかけたほうが効果的と思いこんで、能力以上の距離を走るのも絶対ダメ。その距離に耐えうる筋肉がついてない状態では、故障の原因となります」

●体重の3倍以上の負荷

 どうすればいいのか。その前に、まずは走る前の準備から。ウェアは、ランニング用であれば、どんなものでもOK。

「ここ10年でファッションブランドまでランニングウェアに進出した結果、ファッショナブルなウェアが数多く販売されています。いずれも、吸汗・速乾機能を備えており、走る際に手足の動きを妨げることもない」

 シューズ選びは慎重に。格好から入って、プロのランナーが愛用するようなシューズを選ぶのは禁物だ。

「ランニングの際の着地衝撃は体重の3倍以上。下り坂になると5倍以上にも達します。それを長時間続けるのですから、体への負担は計り知れません。初心者は着地衝撃を吸収してくれる、ソールの分厚いランニングシューズを選択しましょう」

 ソールが厚く、フィット感の高い、“少し大きめ”のシューズを選択するのがベストだ。

「走っている際には衝撃により、足の指が伸びます。さらに、長時間走ると足が熱を帯びて膨張する。だから、つま先までピッタリのシューズだと、爪の中に内出血を起こすこともあります。ピッタリなサイズよりも0.5~1センチ大きなシューズが最適です」

 ウェアとシューズが決まったら、入念な準備体操を行ったうえで、ウォーキングを始めよう。

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