23年にわたり宮内庁に勤務し、現在はBSジャパン「皇室の窓」の監修などを務める山下晋司氏は、機能から分析する。御所も東宮御所も規模と部屋数は異なるが、私的な居住空間と公務を行える公的スペースを一体化している。退位後の天皇は、国事行為がなくなり公務も少なくなるが、即位する新天皇の仕事量は皇太子時代に比べて増える。

「皇室の本拠は皇居にあるべきですから、皇太子殿下が即位すれば皇居に移るのが自然。東宮御所が空きますが、皇太子殿下の公務を秋篠宮殿下が引き継ぎ、公務が増えるだろうことも予想されます。秋篠宮殿下が皇太子あるいは皇太弟になるかどうかについては法改正も必要なので現段階では何も言えませんが、増える公務とサポートに必要な人員から考えて、秋篠宮邸は確実に手狭になるのではないでしょうか」

 退位後、現天皇が公務を控えるなら、現皇太子家が御所、秋篠宮家が東宮御所、現天皇が秋篠宮邸、という選択も合理的だという。

「吹上大宮御所は老朽化が進み、使うには建て替えに近い改修が必要でしょう。皇居内にこぢんまりした住居を新築する可能性もあるかもしれません」(山下氏)

(アエラ編集部)

AERA 2016年9月12日号