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首都直下地震 帰宅困難者が大量発生で群衆なだれの可能性

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添田孝史AERA#地震
東日本大震災では帰宅困難者が大量発生した。人も車も混雑したが、首都直下地震ではこれ以上の混乱が予想される (c)朝日新聞社

東日本大震災では帰宅困難者が大量発生した。人も車も混雑したが、首都直下地震ではこれ以上の混乱が予想される (c)朝日新聞社

震災発生時 どこが混雑するか?(廣井悠・東大准教授提供の図をもとに作成)

震災発生時 どこが混雑するか?(廣井悠・東大准教授提供の図をもとに作成)

帰宅支援道路(東京都防災マップから)

帰宅支援道路(東京都防災マップから)

●救急車到着に2倍以上

 帰宅困難者は、震災を拡大する加害者にもなりうる。彼らが引き起こす渋滞が、救急車や消防車の移動を遅らせ、救助活動を妨げてしまうのだ。

 東日本大震災のとき、道路の大渋滞が原因で、都内の救急車の到着時間が普段より大幅に遅れた。東京消防庁によると、3月11日の地震発生から日付が変わるまでに都内で出動したのは747件。現場到着までの平均時間は15分12秒で、前年の平均6分40秒の2倍以上かかっていた。最大で2時間16分かかった例もあった。

 徒歩であっても災害を拡大する加害者になりうる。廣井准教授らが延焼危険性の高い墨田区北部でシミュレーションしたところ、建物倒壊による道路閉塞や、帰宅困難者の動きが悪い条件で重なると、地域住民の避難が大きく妨げられた。火災発生のリスクが高い地域を大量の帰宅困難者が通過しようとするので、消火作業が妨げられることも予測される。だからこそ廣井准教授は言う。

「地震が起きたら帰ることより、『帰らずに安全を確保する』方法を模索するべきです」

 道を知らない帰宅困難者は幹線道路を通り、地域住民は細かな道を通るというすみ分けができればいいが、首都直下地震で建物が倒壊すれば、細い道が使えなくなる。帰宅困難者は、地域住民にとってじゃまな存在になってしまうのだ。(ジャーナリスト・添田孝史)


【外出先で大地震に遭遇した時の心得】

●原則は「帰らない」
安全が確保できる場所で待つ。地震後3日間は会社や学校、一時滞在施設で待機するつもりで

●家族の安否を確認する手段の確保
家族と連絡がつけば職場や外出先から帰らなくてもいい場合があり、混乱を防げる。災害用伝言板やSNSなど、多様な連絡手段の確保を。事前に家族と打ち合わせ、訓練しておくことが必要

●駅に近づかない
情報を求めて駅には人が集中しやすいが、駅でも情報は得られないことが多い。特に高齢者や子ども連れは近づかない

●「お客さん」にならない
外出中に民間企業などの一時滞在施設に受け入れてもらった場合は、お客さん扱いを期待しない。企業側も被災しており、人手や物資は足りない。受け付けなどを手伝うつもりで

(廣井悠・東大准教授への取材から)

AERA 2016年9月5日号


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