発達障害の子が自立と就労の壁を乗り越える

出産と子育て

2016/06/02 16:00

 発達障害と不登校が関係しているケースは少なくない。中学の特別支援学級に在籍していた生徒や、診断名を持つ生徒を積極的に受け入れている通信制の明蓬館高等学校(東京都品川区)には、毎年約150人の生徒が入学してくる。そのうち、発達障害の診断を受けた生徒、またはその傾向のある生徒が2割以上いる。なかには、発達障害があることを見過ごされ、小中学校時代に適切な支援を受けられず、叱られ続けて自己評価が低くなった生徒もいる。人間関係がうまくいかないストレスを抱え、ひきこもり、うつ、対人恐怖、家庭内暴力、依存症といった「2次」あるいは「3次」障害に至る事例はいくつもあるという。

 同校校長の日野公三さんは、日本の教育現場の現状をこう語った。

「義務教育では、発達障害のある子に対し『個別の支援計画』を作ることが求められています。本来は学校が計画作りを通して保護者や関係機関と連携していくべきですが、高校はおろか、小中学校でもまだまだ完全に実施されているとは言い難い」

 発達障害に含まれる「学習障害(LD)」がある子たちは、学びの場である学校においては苦痛を強いられる場面が多い。

 神奈川県小田原市の石井郁也くんは、ちょっとおどけて、

「僕はいま18歳。ある意味でひきこもりです(笑)」

 と自己紹介した。現在は明蓬館高校「品川・御殿山SNEC(すねっく)」に通う。同校では教室での一斉授業のかわりにパソコンやタブレットでネットの授業を視聴できる。義務になる登校は年4日間で、生徒の特性に合わせて学習環境を選べる。郁也くんは平日の空き時間に、地元で運送業のアルバイトもしている。

●勘違いで「サボってる」

 郁也くんにはLDの一種で読み書きに困難を伴う「発達性ディスレクシア」がある。郁也くんの場合、例えば、音楽でリコーダーを吹くことはできるが、音符という記号を「読む」となると、とんとわからなくなる。

 診断名は親を通じて学校側に伝わっていたはずだ。だが小学生の頃、努力して書き上げた提出物はいつも2本線で消され、赤字だらけになって返ってきた。字が読めずに諦めモードだった中学時代、郁也くんのことを先生たちは勘違いして「サボっている」と口々に言った。

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