内容は、目に留まる履歴書の書き方、自分の売り込み方、仕事を探している分野が本当に自分に合っているかのテストなど。職場復帰する母親たちが子どもに対して罪悪感を抱かないよう、精神分析医を招き、アドバイスをしてもらうこともあります。

 なかには“給料の上げ方”といったワークショップも。男性は「給料が自分の仕事に見合っていない」と交渉するのに長けているけれど、女性は金額を提示されても、「ありがとうございます」で終わってしまう。女性はお金について話すのはタブー、とさえ思っている。でも、男女の給与差を20年という長いスパンで見ると、マンションの一室を買えるくらいの差になってしまうんですよ。

 女性が働きやすいとは言えない環境のなかで、犠牲的になるのではなく、自分の力で人生を切り開いてほしい。それがこのプロジェクトの目指すところです。なので、ワークショップはどれも実践的。冷蔵庫が空っぽになったときに役立つサイト一覧や、時間管理アプリの活用法などもレクチャーしています。

 私たちが声を大にして言いたいのは、仕事も家庭も、すべてを手に入れることはできる。でも、それらが必ずしも同じタイミングではない、ということ。

 両立するうえで本当に大変な時期は何年も続くわけではない。子どもがある程度成長し、母親よりも大切なものができたとき、「自分は仕事をしてきてよかった」と思うはず。キャリアを築き、仕事で花開いた母親を、子どもたちだって誇りに思うはずなんです。

AERA  2015年8月3日号より抜粋