「うまく言葉が出なくなったのは、前の会社でのセクハラやパワハラが原因。でも、あのサポステは、いじめられた経験があり、成育歴に問題があるから、対人恐怖でひきこもり傾向がある、というストーリーに仕立て上げたいのかなと思いました」

 その後、担当者は「人間関係に慣れていきましょう」と言って、自治体が主催する「コミュニケーション人間関係講座」の受講を提案。勧められるがままに講座を受け、再び面談を受けると、担当者は「何か変化はありましたか?」「講座に出ることによって、緊張なくなったよね?」などと聞いてきた。

「私の意向はまったく聞いてもらえず、上から目線で詰問される。まるで就職という道を外れると、個人に問題があるかのよう。『君たちのためにやってあげているんだよ』という感じが、何とも気持ち悪いんです」

 次に勧められたのは“ボランティア”だ。高齢者事業団の清掃活動、介護施設での仕事、東日本大震災の被災地支援などだが、なかには驚くような“ボランティア”も。サポステの運営団体が営む飲食店での手伝いだ。結局、勧めには乗らなかったが、Aさんは不思議でならない。

「ホールスタッフとして働く仕事を紹介されましたが、半年ほどで50万円から60万円かかるというプログラムでした。しかも無給。『働かせていただくんだから、報酬を受け取ろうとするほうが間違っている』と言われました。国の支援事業なのに、なぜお金を払って働かなければならないのでしょうか」

AERA 2014年8月25日号より抜粋