現在、一般入試ではセンター試験の後に各大学が個別の学力試験を課す場合が多い。これには下村文科相が、「2回も3回も学力テストをすることは方向転換(すべき時期)に来ている。学力一辺倒の入学試験から脱皮する必要がある」とクギを刺している。つまり大学入試を「面接重視」「人物評価重視」に変えたいわけだ。「チャンスは一度きり」のセンター試験に比べ受験機会が複数化し、人物重視になるのは受験生には一見「朗報」だ。だが、教育現場の評判はすこぶる悪い。

「米国のように面接や人物重視の試験をするなら、人物の真贋を見極められる教員を大学が養成する必要があるが、自前で入試問題を作れずに外注する大学さえ多い中で、そんなことができるだろうか」(東北地方の公立高校の校長)

 教育再生実行会議の委員は、「大学入試においても、志望動機や将来の夢としての志を明確にして、試験でも問う。受験生の人間性や人となりも評価する」と発言しているが、「志」「人となり」を客観的に評価するのは容易でない。

AERA 2013年11月11日号より抜粋