私立中学・高校、学用品・制服に果たしていくらかかる?(撮影/写真部・植田真紗美)
私立中学・高校、学用品・制服に果たしていくらかかる?(撮影/写真部・植田真紗美)

 世はアベノミクス景気で沸いているが、いまだ苦しい家計に重くのしかかるのが、我が子の学用品。特に私学は出費が多く、悩まされる親も多い。

 北関東のある私立高校に娘が入学した父親(48)は、最近顔色が冴えない。入学の喜びもつかの間、急な出費を迫られることになったからだ。女子用の夏冬の制服(コート込み)で12万円、靴9千円、シャツ4千円、体操着・ジャージで3万8千円、電子手帳2万8千円、カバン2万円、刺繍入り靴下800円…。結果、25万円相当の制服や学用品を購入するはめになった。

「量販店などで同じ品質のものを買うより、3~4割は高い印象です。でも、私学だから、イヤなら学校に来なくてもいいですと言われそうで、文句も言えません」(父親)

 今春、首都圏の私学の中学と高校に2人の子どもを同時入学させた母親(46)も大きな負担を強いられた。制服が夏冬セットで8万5995円、体育着セットが2万2500円、学用品が1万1450円など、2人あわせて合計約24万円の出費だった。

「塾代や受験費用に加え、入学金も高かった。ようやく楽になると思ったら、入学後にも予想外の出費で…。2人一緒だったので、余計きつかった」

 実際、首都圏のいくつかの私立中学・高校に聞いてみると、通常、学用品や制服などに9万円から17万円ほどはかかっている。

 ただし、親の不満は金額だけではなく、無駄なものを買わされることにもあるようだ。都下の私立中学に子どもが通う主婦(47)はこう言う。

「学校の指導で、英語の教科書に添ったリーディング用の教材として、高額のICチップと、専用の再生機器を買わされました。でも、NHKラジオの英語講座も聴かなければならず、結局全く使わなかった」

 こうした保護者の嘆きについて、中学受験専門の大手進学塾の日能研広報はこう分析する。

「負担感は、私立中より私立高の保護者に強いかもしれませんね。私立中を受験する家庭は、比較的豊かな層が現在も残っているので、この図式が当てはまらないんです。彼らは市販の100円のノートより、校章のワンポイントが入った300円のノートを喜んで買います。それより打撃が大きいのは、子どもが高校受験をした親ではないでしょうか。特に第1志望の公立が不合格で、私立進学という場合、より負担感が増すのでは」

AERA 2013年6月17日号