スイッチOTC薬はショーケースに陳列され別格扱い。薬によっては添付文書とともに薬剤師が説明することになっている/都内の薬局(撮影/今村拓馬)
スイッチOTC薬はショーケースに陳列され別格扱い。薬によっては添付文書とともに薬剤師が説明することになっている/都内の薬局(撮影/今村拓馬)

 ガスター10、ロキソニンS、アレグラ……。テレビでおなじみの「一般用医薬品」だ。薬局で市販され、ネット通販でも買えて便利になったが、気楽に飲んでいいわけではなさそうだ。

 花粉症の季節になり、抗アレルギー薬の「アレグラ」がテレビCMで盛んに宣伝されている。薬局やドラッグストアで買える市販薬で、最近はOTC(Over The Counter)薬と呼ばれている。医療用医薬品の成分をOTC薬に転用したのが「スイッチOTC薬」だ。OTC薬とはどんなものを指すのか。

 薬の含有成分とそれに伴う副作用の発現頻度などによってリスク分類がなされており、「第1類」から「第3類」まである。「第1類」は副作用などで日常生活に支障をきたす健康被害が生じる恐れのあるもので、特に注意を要する成分を含む。薬剤師が販売し、店舗内のカウンターの内側に陳列し、効能などは必ず文書で説明することになっている。

 厚生労働省に承認されてまもないスイッチOTC薬は、第1類に分類される。患者の安全を考え、医療用よりも比較的分量を少なめに用量や用法を設定しているのがOTC薬の特徴。しかし、「第1類」でなければ長期間にわたり使用し続けてよい、というわけではない。

 東京女子医科大学病院薬剤部で薬剤副師長を務める伊東俊雅さんは言う。

「OTC薬を飲むことは、今ある急性期の症状をなんとかしたいときに用いる対症療法の一つで、一時的に使うことが前提です。何日も漫然と飲み続けていると、内臓を傷めたり薬剤アレルギーなどの有害事象が出たりすることも少なくない」

 目安としては、その薬の発売されている最少の包装単位である1箱を飲み終わるころまでには専門医師の診察を受け、改めて医療用医薬品を処方してもらうなどの対応が必要だという。

 副作用に限らず、伊東さんは、長年、薬剤師をしながらいろいろな薬に関する患者の誤解を見聞きしている。薬の飲み方や「飲み合わせ」について、ポイントを挙げてもらった。

Q. 昔は「服用は食後30分」の指示が多かったが、最近は「食後」の表示が多い。食後すぐに飲んで大丈夫か。

A.「食後30分」と書かれていたのは「30分後」ではなく「30分以内に」と解釈をすべきだった。食べたものと混ざることで効果が出る薬もあるので、「30分以内に」服用したほうがいい。これとは別に「食直後」服用指示の医薬品もあるので、指示をよく確認する必要がある。

Q.「 胃を荒らさないよう薬を牛乳と一緒に飲む」は大丈夫か。

A. 基本はコップ1杯程度の白湯か水。水分をとらないと食道炎の原因にもなる。鎮痛薬を飲む際は、胃粘膜を保護する牛乳も可。ただし、一部の抗生物質や便秘薬は胃の中の状態が変化し、かえって胃を荒らす原因にもなるので注意。

AERA 2013年3月25日号