人気の寄付先として、自治体への「ふるさと納税」がある。

 所得や家族構成などに応じた一定額の範囲内なら、寄付金から2千円を引いた全額が戻ってくる。言い換えれば、2千円の自己負担だけで寄付金の3割に相当する返礼品がもらえる。

 各地の特産品をはじめさまざまな返礼品があり、利用した人も多いだろう。寄付先が5カ所以内などの条件を満たせば確定申告をしなくてよい「ワンストップ特例制度」もある。6カ所以上に寄付したり、ほかの控除を受けるために確定申告したりする場合は、ふるさと納税分も申告が必要なので注意しよう。

■専門家や相談会 活用して備えを

 所得を大きく減らせる可能性がある所得控除に、扶養控除がある。扶養する家族がいると、1人につき38万~63万円を所得から差し引くことができる。扶養家族が増えれば、その分、取り戻せる額も大きくなる。前出の板倉さんは言う。

「扶養の対象は実は意外に広い。一緒に暮らす親や子が思い浮かびますが、『生計を一にしていること』が条件で、離れて暮らしていても仕送りをしていれば当てはまる可能性があります。病気で働けない自分や配偶者の両親やきょうだい、おじやおばなどでもよい。対象となるか確認してみましょう」

 扶養の対象は、16歳以上の親族で年間所得が48万円以下なら該当する。年金暮らしの高齢者は原則、65歳未満だと108万円以下、65歳以上だと158万円以下だ。条件に当てはまれば、人数分だけ申告できる。

 税金の制度はとかくわかりにくい。税務署や税理士ら専門家に聞いたり、無料相談会に参加したりして、万全の備えをしよう。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2023年2月10日号

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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