クラッソーネのシミュレーションの画像イメージ
クラッソーネのシミュレーションの画像イメージ

「対策を怠れば、事業者だけでなくお客様にも罰則が及びます。一般的にはまだ十分に知られていませんが、対策はこれから厳しくなると見込まれますので、自治体などは負担を和らげる制度を整える必要があると思います」(同)

 解体工事の増加を見込み、新しい取り組みも目立ってきた。クラッソーネ(名古屋市)は、ネットを通じて解体工事の見積もりを出すサービスを提供する。解体費用のシミュレーターを使うと、解体したい建物の構造や坪数、前面道路の広さといった10程度の情報を入力すれば、その地域の相場を踏まえた解体費用の概算がわかる。

 空き家の所有者と全国約1600社の解体業者をマッチングする無料サービスを使えば、その地域で工事を請け負える業者に具体的な見積もりを申し込むこともできる。

 最高執行責任者(COO)の堀口晃司さんは言う。

「解体工事や業者に関する情報はもともと少なく、選択肢が限られてしまう現状を変えたい思いがありました。当社の強みは業界に関する専門知識の高さや、AIを使ったマッチングの精度。また、工事が終わるまで安心して任せられる体制も整えています」

 解体工事会社向けの研修・教育事業や一般向けの相談業務を手がける一般社団法人「あんしん解体業者認定協会」(東京都港区)は、独自の基準にもとづいて解体工事会社を審査し、認定する取り組みを進めている。解体業の登録証や産業廃棄物処理マニフェストといった各種許可証をはじめ、社内の管理文書や顧客への提出書類などの確認、顧客への聞き取りや工事現場の視察、経営トップとの面談などを通じて審査しているという。

 同協会管理部の辰巳浩晃さんは「もともと何にいくらかかるのか見えにくい業界でもあるので、困っているお客様のお役に立つと同時に、頑張っている工事業者が報われるようなサポートがしたい」と力を込める。

 協会には首都圏を中心に700社近くが参加。認定業者はまだ50社程度にとどまるが、取り組みの輪を広げていきたいという。

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