※写真はイメージです
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 太陽表面で爆発が起こると、電磁波や放射線などが出る。規模によっては、地球を守る大気や磁場に影響する。地上では、地球規模で通信や電力インフラが使えず、航空機や船舶の運航が停止する事態も想定されている。

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 通信や放送が断続的に2週間途絶え、電力インフラは広域で停電し、携帯電話も一部でサービスが停止、航空機や船舶は世界的に運航を見合わせる。SF映画のような大混乱が地球規模で起きる可能性があるという。

 これは太陽表面の爆発(太陽フレア)が起きた場合の最悪のシナリオ。数十年から100年に一度くらいの頻度で発生するとされる。今年6月、総務省のもとで「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」がまとめた報告書が想定している。実際に過去には大規模な太陽フレアが起き、影響も出ている。

 記録上で過去最大規模とされる太陽フレアは、1859年9月。電信線の帯電によりオフィスで発火するなど、欧米では電報システムが寸断されたという。江戸時代末期だった日本では、各地でオーロラが見られたと記録されている。発見者の英国の天文学者キャリントンにちなんでキャリントン・フレアと呼ばれた。その際には巨大な磁気嵐(キャリントン・イベント)が発生している。

 1989年3月の太陽フレアでは、磁気嵐が起こり、カナダのケベック州で大規模停電が発生した。600万人程度が影響を受け、被害額は数百億円規模になったともいわれる。

 最近も人工衛星が落ちて燃え尽きる事態となっている。インターネット接続サービスを展開する米国のスペースXが2022年2月、ケネディ宇宙センター(フロリダ州)から49機の衛星を地球低軌道に打ち上げたが、40機が大気圏に再突入して喪失した。磁気嵐で密度を増した大気の抵抗を受けたためとされる。

「太陽フレアは地震に似て大小さまざま。小さなものは日常的に起き、大きなものはまれ。影響があるのは数年とか数十年とか、あるいは100年に1回くらい」

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