鎌倉殿と日経平均の表
鎌倉殿と日経平均の表

 では、7回目となる今年の株価はどうか。足元では日経平均株価は年初の2万9301円を下回る水準で推移している。年末までに、この水準を上回るか。

 宅森さんは「確かに、急激な円安や物価の上昇で先行きへの不安は高まっていますが、経済指標をみると、実はそう悪い状態ではないのです」と話す。

 6月に発表された全国企業短期経済観測調査(短観)では、全規模全産業の設備投資計画は前の年度に比べて14%増。代表的な景気の先行指標である機械受注も、上下の振れ幅は大きいものの回復基調にある。

 民間のエコノミストを対象に景気判断や国内総生産(GDP)成長率の見通しなどを聞く「ESPフォーキャスト調査」でも、民間の設備投資や株価は22年度から23年度にかけて上向くと予想されている。

 つまり、企業活動は世間が思うよりも底堅く推移している。宅森さんは続ける。

「年末にかけて外国為替市場や資源価格が落ち着きを取り戻せば、物価の上昇もある程度歯止めがかかるでしょう。そうした見通しが立てば、株価は企業活動の回復を織り込む形で上昇し、前年末の水準を上回る可能性は十分にあります」

 とはいえ、株価が上がると言っても、大きく上振れするほどまでではなさそうだという。

 「鎌倉殿」でも、頼朝や義経はすでに死に、これからは幕府内で権謀術数が渦巻く、どちらかというと暗い場面が増えていきそう。義時もすでに成人しており、主人公が成長する姿や勝ち戦といった爽快なシーンは今後減るかもしれない。

「暗い場面が増えそうな夏から秋にかけては、株価の上昇も緩やかなものに抑えられてしまうかもしれません。でも今の展開をみていると、ドラマの終盤には、承久の乱で後鳥羽上皇を打ち破り、北条氏が権力基盤を確固とする展開が用意されているはず。株価も、終盤に向けた盛り上がりとともに、年末にかけて尻上がりに上昇ペースが上がる可能性があります」(同)

 さて、今年もこのジンクスはあてはまるだろうか。

(週刊朝日・池田正史)

*週刊朝日オンライン限定記事

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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