「メンバーは、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど、犬のマイクロチップ装着が義務化、もしくは強く推奨されている国出身が多いです。マイクロチップの装着は、所有者を明確にし、遺棄や虐待を防ぐために最も有効な手段と考えています」(メンバーのシエラ・サマー・キーティングさん)

 アメリカでは義務化されていないが、災害時に大けがを負って飼い主でも識別が困難な犬や猫がマイクロチップのおかげで飼い主のもとに戻れたケースが多くあるという。

「自然災害の多い日本では、特にマイクロチップの必要性が高いと考えています」(同メーガン・メンドーザさん)

 災害時にペットとはぐれてしまった場合、さまよっているうちに首輪や連絡先を刻印した迷子札が外れてしまうこともあるが、マイクロチップであれば飼い主の元に戻れる確率は確実に高くなる。

 一方、平常時であっても迷子のリスクは常にある。どこかで保護されたときに、マイクロチップを手がかりに身元を照会してもらえる。また、盗難に遭った場合でも、自分のペットだという証明になる。

「マイクロチップがあれば、生涯そのペットがどこの家の誰に飼われているかという証明になります。『顔や模様が似ている』といった感覚的なものではなく、確実にわかるのはいいこと。すでに飼っている犬猫へのマイクロチップ装着は努力義務ではありますが、いつ何が起きるかわかりませんし、ペットが高齢であっても装着に支障はありません。安全性の高いものなので、装着をおすすめします」(柴内院長)

 かわいいペットに異物を埋め込むことへの抵抗感もわからなくもない。しかし迷子や盗難、災害などで飼い主とはぐれて再会できなくなるほうが、ペットにとってはるかに不幸だ。ペットを終生大事に、責任を持って飼うためにも、マイクロチップ装着を前向きに検討すべきではないだろうか。(ライター・吉川明子)

週刊朝日  2022年5月27日号