※写真はイメージです (GettyImages)
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 テレビのドキュメンタリー番組で何かが変わりつつある。NHKは看板番組の「プロフェッショナル 仕事の流儀」で初めて一般人を主人公にした企画を放送して話題になった。民放ではTBSで人気番組「情熱大陸」がメジャー路線に舵を切っている。さて何が起きているのか?

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 その日、ネットがざわついた。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」が1月18日、スピンオフ企画「となりのプロフェッショナル 推し活の流儀」を放送したからだ。「プロフェッショナル~」といえば、これまで16年間、その道のトップランナーに密着してきたのに、初めて一般人にフォーカスした番組を作った。放送開始直後からネットでは自分の体験や思いを語る投稿などが相次ぎ、「推し活」がトレンドランキングに急浮上した。

 実はこの放送より前の1月4日にスポーツ紙が「『プロフェッショナル~』が3月いっぱいで週1回の通常放送を終了し、月1回程度の特別版のみの放送に移行する」と報じている。その直後の異例の企画だったため、ネットのざわつきも大きくなった。

 同じ人物ドキュメンタリーの長寿番組、TBS系「情熱大陸」にも変化が起きている。これまで主に知られざるヒーローに焦点を当てるのを売りに人気を得ていた番組だったが、昨年後半から取り上げる人物がメジャー化し、こちらもネットをざわつかせている。11月に2回にわたり女優の広瀬すずを取り上げたのを皮切りに、ショパン国際ピアノコンクール2位のピアニスト・反田恭平、Jリーグ最多得点の大久保嘉人、歌手の和田アキ子と続き、1月16日には矢沢永吉が登場した。

「直接的な理由は視聴率でしょう。『プロフェッショナル~』は裏番組のニュースやドラマが10%程度の視聴率なのに対し、4%前後。時間も制作費もかかる番組を整理したのでしょう。しかし、ボディーブローのように効いているのがコロナによる取材制限です。テレビの取材クルーは大所帯になりやすく、密を避けなければならない今は制作側が意図した映像が作りにくくなっている」(元民放幹部)

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