その中で先発の山本由伸は良かった。おそらく大会を通じて彼以上の投手を見つけるのは難しいだろう。先発で使うなら残り1試合しかない。どこに持っていくのか。それとも救援で複数の試合に使うのか。稲葉監督の考え次第となる。

 開会式で長嶋茂雄さん、王貞治さん、そして松井秀喜が聖火走者となった。数あるスポーツ、そしてアスリートの中で、野球界の人間を選択してくれたことに感謝するとともに、3人の野球界の貢献度を知っているだけに、胸が熱くなった。

 五輪における野球は数ある中の一つの競技ではあるが、日本における野球の位置づけは違う。それは先人たちが築き、ファンの方々に応援してもらって成り立ってきたものである。選手はその重みを背負ってくれているかな。8月7日の決勝戦。横浜スタジアムで最高のパフォーマンスをしてくれることを願う。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2021年8月13日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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