僧侶側のオンライン葬儀の様子。高齢の僧侶も多いため、僧侶もオンラインを望み、会場に来ないケースもあるという (ライフエンディングテクノロジーズ提供)
僧侶側のオンライン葬儀の様子。高齢の僧侶も多いため、僧侶もオンラインを望み、会場に来ないケースもあるという (ライフエンディングテクノロジーズ提供)
遺族側のオンライン葬儀の様子 (ライフエンディングテクノロジーズ提供)
遺族側のオンライン葬儀の様子 (ライフエンディングテクノロジーズ提供)

 長引くコロナ禍で葬儀の形が変わりつつある。多くの人が参列する、これまでの葬儀は「密」。人との接触を減らせるオンライン葬儀の需要が増えている。この流れはますます加速していきそうだ。葬儀のニューノーマルとは?

【写真】遺族側のオンライン葬儀の様子はこちら

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「緊急事態宣言が発出されるたびに、オンライン葬儀のシステムへの問い合わせが急増しました。これまでに約1500件ほどのオンライン葬儀が行われ、参列者は累計で2万人ほどでしょうか」

 そう話すのは、葬儀関連のシステムを開発・運営するライフエンディングテクノロジーズ(東京都港区)の栗本喬一さん。同社は葬儀のデジタル化を推進。昨年5月にオンライン葬儀システム「スマート葬儀」を葬儀社に販売し、今、全国約150社、500カ所が同社のシステムを活用する。

「スマート葬儀は定点カメラを葬儀会場の後方に設置して、オンラインで葬儀をライブ中継します。読経や法話など、すべてパソコンの画面越しに見られます。全国、海外からでも、パソコンやスマホがあれば参列できます」

 参列する人への案内もデジタル化されている。利用者は同社インターネットサイト内に自分専用のページを持ち、そこから訃報案内をメールで送信できる。メッセージアプリのLINEとも連動し、LINEユーザーの参列者全員に一斉送信も可能だ。地図アプリのグーグルマップとも連動。オンラインではなく直接参列したい場合は葬儀場まで案内もしてもらえる。

 加えて、同システムはコンピューター上で取引できるEC機能も備える。

「参列者が受付で記帳、香典を渡すという形が一般的でしたが、香典やお花、供物などはサイトから注文、クレジット決済ができます。入金された時点でサイトに自動に記帳されていくので、後で『この人にはいくらいただいた』などリスト化する必要がなくなります」

 さらに、香典返しにも有用だ。「○○円の人にはこの品物」といった形で、香典の額によって返礼品を一括選択できる。住所も登録されるので、配送までのすべての手続きがサイト上で完結する。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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