――どんな音楽作りをめざしていくのでしょうか。

「ヒャダインさんをリスペクトしてるんです。ヒャダインさんの音楽は“ポップのオーケストラ”だと思うんです。めちゃめちゃトラック数も多いし、あんな音作りには憧れます。でも、根幹にあるのはブルーハーツみたいなシンプルなロックなんです。誰にでも使える言葉なのに、誰にも考えつかない歌詞。誰にでも弾けるギターなのに、誰にも考えつかない進行……みたいなことが音楽で実現できたらいいなと思っています」

「やりたいことはめちゃくちゃあるんですよ。竹達さんに歌ってもらうなんて僕にとっては夢のようなことやったけど、レーベルのおかげでそれをかなえることができた。これからもいろんな夢をかなえていきたいです。自分で歌ったり、(相方の)せいやとコンビで歌ったり。いつかはオーケストラもやりたいと思っています」

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 音楽活動をするにあたり、誰かに頼りきりで「この度、曲出しますねん!」みたいなノリだけは嫌だ、とも語った粗品。これまで漫才のネタを作ってきたのと同じように、一から構想を練り上げ、MVの細部にまでこだわりを持って作るスタンスのようだ。

 実際、今回のインタビュー後に公開された「乱数調整のリバースシンデレラ」は参加した各ミュージシャンの魅力を引き出しながらも、粗品の世界観がいかんなく投影されたすごみのある楽曲だった。

 お笑いに、音楽に、ととどまることのない“表現衝動”。若手アーティストが、日本の芸能界にどのような影響を与えていくのか、楽しみでならない。

※取材時に収録した動画をYouTubeチャンネル「AERA dot.」で公開中!

◆プロフィール
そしな/1993年、大阪市生まれ。2013年にせいやとお笑いコンビ「霜降り明星」を結成。「M―1グランプリ2018」で優勝、個人でも「R―1ぐらんぷり2019」で優勝。

『乱数調整のリバースシンデレラfeat.彩宮すう(CV:竹達彩奈)』/2021年3月31日にリリースされたsoshinaの第1弾楽曲。童話「シンデレラ」を題材にした内容で、疾走感のある“アニソン”風のナンバー。粗品が作詞作曲、プロデュース、ピアノなどを手がけた。ボーカルに声優の竹達彩奈を迎え、ギターにRei、ドラムに石若駿らトップミュージシャンが参加。

(中将タカノリ)

※週刊朝日オンライン限定記事