自らのレーベルを立ち上げた粗品=東京都渋谷区、写真はいずれも加藤夏子撮影
自らのレーベルを立ち上げた粗品=東京都渋谷区、写真はいずれも加藤夏子撮影
「漫才でできなかった表現を」と粗品
「漫才でできなかった表現を」と粗品
粗品と、今回取材した中将本人(右)
粗品と、今回取材した中将本人(右)

「M-1グランプリ」「R-1グランプリ」を制し、若手お笑い芸人の代表格として人気上昇中の霜降り明星・粗品。かねて世界的ピアニストとのピアノ共演やボカロ(ボーカロイド)楽曲の発表などミュージシャンとしての才能が注目されていたが今春、ユニバーサルミュージックの協力のもと、音楽レーベル「soshina」を立ち上げ、音楽活動を本格化させた。

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 3月31日には、レーベル第1弾楽曲として実力派ミュージシャンたちを起用し、自らが作詞・作曲・編曲などを担当した「乱数調整のリバースシンデレラ feat.彩宮すう(CV:竹達彩奈)」を配信リリース。お笑い芸人にとどまらない表現者としてはばたき始めたが、どんな思いで音楽活動に臨み、どこへ向かうのか。

 ――昨年、YouTubeで発表されたボカロ楽曲たちは大きな反響となりました。いずれも強烈な個性を感じる内容。『Hinekure』の歌なんて、頭から「自分のことが嫌い」と。

「『Hinekure』は王道の名曲が刺さらない人に刺さったらいいなと思って作りました。あんまり気づかれてないんですが、サビで『強い』『弱い』という正反対の言葉を重ねて連呼することで、リスナーがいつの間にか『いつわり』って聴こえるように工夫しています。『俺は強い』と言い張るけど、もう一人の自分は『お前は弱い』ってささやく……そういう心理ってあるじゃないですか。自己嫌悪があって、ほんまに友達がおらん人とか、そういう人への応援メッセージになればいいなと」

「そんな感じで曲ごとにいろんなテーマや個人的に面白いと思えるポイントを設けています。例えば『ぷっすんきゅう』は僕が昔あこがれていたボカロ全盛期の歌詞……それこそハチさん(米津玄師。かつて用いた名前から)とかをイメージして作りました。わかりそうでわからない、実は意味があるんじゃないかと深読みしたくなるような感じをめざしたんですね。『サンパチスター』も僕が熱くストレートにメッセージを発してる部分だけが注目されがちなんですけど、実は1番と2番で伴奏と主旋律を入れ替える試みをしています」

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