※写真はイメージです (GettyImages)
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検査項目と「正常値」 (週刊朝日2021年2月26日号より)
検査項目と「正常値」 (週刊朝日2021年2月26日号より)
検査項目と「正常値」 (週刊朝日2021年2月26日号より)
検査項目と「正常値」 (週刊朝日2021年2月26日号より)

 長引くコロナ禍の生活。日常の変化によって、血圧や血糖値などが気になるという人も多いのでは。ただ、健康診断などの「正常値」を絶対と考えるのは危険だ。血圧は正常値の範囲が厳しすぎると、かねて指摘されてきた。そうした例はほかの数値にも。また場合によっては、それが過剰医療につながる可能性もある。専門家の注意点を参考にし、数値に振り回されない健康管理をしていただきたい。

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 血糖値や肝機能、腎機能、尿酸値など血液検査でわかる疾病は多い。

 血糖値はコントロールが重要だ。新潟大学名誉教授の岡田正彦医師がこう指摘する。

「空腹時血糖値が126mg/dl未満であれば、食事や運動など生活習慣の改善で悪化を防ぐことができます。とはいえ、運動習慣のなかった人が、ハードな運動を続けるのは困難です。血糖値が上がりやすいのは体質によるものなので、運動は長く続けられるものでなければなりません。1日30分、週5回が一つの目安です。早歩きのウォーキングがすぐに始められて効果的です」

 ただし、血糖値が高いまま放置していると、怖い合併症を起こす恐れがある。インスリンの注射や服薬が必要になることもあるが、一気に正常値まで下げると低血糖で意識障害を起こすことがある。血圧も血糖値も高い値にばかり気を取られがちだが、特に高齢者は低い値こそ注意しなければならないのだ。

 コレステロールも心筋梗塞(こうそく)の予防を理由に、正常値が厳しく設定されている。精神科医で老年内科医でもある和田秀樹・国際医療福祉大学大学院教授が言う。

「コレステロールが高めの人ほど、元気で長生きであることがわかっています。悪玉と呼ばれるLDLコレステロールも例外でなく、免疫機能を上げるのに役立っています。現在のように感染症が流行しているような時期こそ十分な栄養を取るように心がけたい」

 一方、善玉と言われているだけに、HDLコレステロールは数値が高いほど健康的だという。岡田医師が説明する。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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