この「財源」というのが重要なポイントだ。東京都は新型コロナウイルスの「第1波」が襲った昨年春の段階で、自治体の「貯金」に相当する財政調整基金として貯めていた1兆円のほとんどをコロナ対策のために使い尽くしてしまった。もう、新たに大規模な補償を行うカネが残ってないのだ。自民党関係者がこう語る。

「要は金目の問題なんです。飲食店の営業時間が短くなる分の支援を、国がどこまで出してくれるかだった。ベースを勝ち取る交渉のため、東京だけだと厳しいので埼玉と組み、神奈川や千葉の知事を巻き込んでいったわけです」

 前出の後藤編集長は、次のように指摘する。
 
「財源が足りないからといって東京都として打つ手がなかったのかというと、もう少し何かできたのではないかと思います。実際に北海道や大阪ではGo Toトラベルキャンペーンの中止を国に要請し、一定程度は感染拡大を防いだ面があると思います。東京都の場合、経済活動の維持に重きを置きすぎたところもある印象です」(前出の後藤編集長)

 地域政党「自由を守る会」代表の上田令子都議も同様にこう指摘する。

「大阪と北海道では早い段階で、Go Toトラベルの対象から除外して欲しいと国に要望しました。その時に、東京も除外を要請しておくべきだったのではないでしょうか。小池氏は関連業界から突き上げを恐れたのか、結局、Go Toトラベル除外も昨年末のギリギリまで引き延ばしました。その結果が、年末年始の感染爆発につながったのではないか。小池氏はその責任を免れるために緊急事態宣言の発出を国に要請に行き、『全部、政府のせい』というイメージをつくろうとしているように見えます」(上田氏)

 自民党の川松真一朗都議は、小池氏の「医療崩壊」に対する対応の遅れを指摘する。

「小池さんは都立・公社病院の計14病院でコロナ患者のための病床を1100床確保しているとしていますが、実態は医療人材の不足などの理由で、その半分程度しか患者を受け入れられていないんです。こうした状況なのに、1月8日の緊急事態宣言発令の記者会見では『600床増やし、1700床の確保を目標にする』と目標値を引き上げて、『遅れの実態』をうやむやにしてしまいました」

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