菅義偉首相が小池百合子都知事に押し込まれる形で1月8日に発出された、首都圏1都3県を対象とする緊急事態宣言。ここまでのプロセスに対して小池氏の政治的手腕を評価する声もあるが、都政に詳しい人物からは異論もあがっている。
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自民党東京都最高顧問の深谷隆司・元衆院議員は次のように語る。
「小池氏が救世主のような存在として振る舞っているのは違和感があります。菅首相のほうが後手に回った印象がつくられつつありますが、小池氏はこれまで何をやっていたのか。昨年の段階で、飲食店などに対して東京都として独自にさらなる時短営業を要請するなど、さまざまなことに取り組むことはできたわけですよ。それが不十分だったから、これだけ多くの感染者や重傷者が増えてしまったんです」
1月2日、小池氏ら1都3県の知事が内閣府を訪れ、西村康稔経済再生相に緊急事態宣言の発出を要請した。この際、西村氏からは逆に、現状で午後10時になっている首都圏の飲食店の閉店時間を午後8時にするように要請されたという。前出の深谷氏はこう続ける。
「大阪では昨年11月末から飲食店に午後9時までの『時短要請』を出し、それが当たり前の文化として定着していた。ところが、小池知事は営業時間の短縮に難色を示し、東京では午後10時閉店を続行していたんです」(深谷氏)
菅首相も8日に出演した「報道ステーション」(テレビ朝日系)で、飲食店の営業時間を20時までとすることについて電話で小池氏に要請したものの、拒否されたエピソードを“暴露”した。
小池氏が政府からの時短強化要請に従わなかったのはなぜなのか。都政の専門紙「都政新報」の後藤貴智編集長がこう語る。
「これまでの小池都知事の説明としては、『さらなる時短要請をしても、従わない事業者が出てきてしまう、そうなると実効性が担保できるのか』というものでした。さらには『まず、知事の権限を強化する特措法の改正と、時短要請をした場合の財源をセットに、国のほうで位置づけるべきだ』と主張していました」