安藤:確かにそういう意味でフジテレビは早かったと思います。「ニュースJAPAN」って、プロ野球ニュースと夜のニュースを合体させた全部で1時間半ぐらいの長い番組で、それのメインキャスターを女性にやらせるって、すごい決断だったと思います。
林:そんなお仕事をされながら、お母さまの介護もやってらっしゃったんだからすごいですよ。
安藤:母は7年ぐらい介護施設にいましたから、私が介護したというよりも、介護施設のスタッフの方に介護していただいたんですけど、林さんも書いてらっしゃったじゃないですか。母親が認知症になってどんどんこわれていって……。
林:『秋の森の奇跡』かしら。
安藤:そうそう。うちの母は大正生まれで89歳で亡くなったんですけど、戦争も経験したし、子育てもやったし、壮絶な頑張りを見せた人生だったわけで、最後の10年ぐらい、今日が何月何日だろうが、私が誰だろうが、そんなことどうだっていい、穏やかにホンワリと暮らしているんだったら、それで十分じゃないかと思ったんですね。そう思ったとたんにとてもラクになって、母はこわれているのではなく、俗世にバイバイして、今いちばん幸せなご褒美の時間を生きてるんだと思うようになりました。それを機に、母親との関係性もよくなったような気がする。
(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)
安藤優子(あんどう・ゆうこ)/1958年、千葉県生まれ。大学在学中からキャスターやリポーターとして報道番組に携わる。「FNNスーパータイム」「ニュースJAPAN」「FNNスーパーニュース」のメインキャスターとして活躍。2015年から今年9月まで、午後の生放送番組「直撃LIVE グッディ!」のメインキャスターを務めた。著書に『以上、現場からでした。』(マガジンハウス)、『ひるまない』(講談社)など。
※週刊朝日 2020年12月18日号より抜粋