コロナ禍で抗菌作用が注目されるハチミツ。写真はイメージです(撮影・堀井正明)
コロナ禍で抗菌作用が注目されるハチミツ。写真はイメージです(撮影・堀井正明)
ニュージーランドのマウント・クック。豊かな自然が観光資源となっている(撮影・堀井正明)
ニュージーランドのマウント・クック。豊かな自然が観光資源となっている(撮影・堀井正明)

 マヌカハニーといえば、ニュージーランド(NZ)だけにあるとされる低木マヌカの花からとれるハチミツ。抗菌作用や免疫促進、炎症を和らげるなど優れた食品として、日本でも人気だ。そのマヌカハニーから除草剤であるグリホサートが検出されたという。健康食品に農薬とは、一体どうなっているのか。

【写真】ニュージーランドのマウント・クック。豊かな自然が観光資源となっている

<マヌカハニーから残留農薬が検出――>
 ショッキングなニュースが飛び込んできた。

 NZだけにあるとされる低木マヌカの花からとれる高級ハチミツのマヌカハニー。先住民族マオリが、病気やけがを癒やす働きがあると信じて使ってきたもので、抗菌活性化の作用があるといわれ、人気の高い食品だ。

 そのマヌカハニーについて、NZ政府の第1次産業省は、検査したマヌカハニーの約2割から除草剤として使用される農薬、グリホサートを検出したと公表したのだ。

 政府の残留農薬検査は、2015年から19年の間に2回行われた。1回目は全土からクローバー、マヌカなどさまざまな花のハチミツから300のサンプルを集めて検査を行った。その結果、全体の22・3%にあたる67個からグリホサートを検出。そのうちグリホサートが食品の安全性の基準値を超えたサンプルは五つ(1・7%)で、いずれも精製前のものだった。

 2回目は、NZの主力産業製品である国内で販売されるマヌカハニーの製品にしぼられた。60個のサンプルで基準値を超えたものはなかったが、18・3%にあたる11個からグリホサートが検出されたのだ。

 政府は調査結果を公表。そのニュースは日本の愛好者の耳にも入った。

「健康にいいものだから、と高いお金を出していました。発がん性のあるグリホサートの残留農薬が出たと聞き、ショックです」(都内在住50代女性)

 NZ政府の調査結果では、市販のハチミツからは基準を超えるグリホサートは検出されなかったとして、食品の安全性に関する懸念はなかったと結論づけた。また、国内でマヌカハニーを販売する企業や業者は、HPなどで「自社製品は安全」と掲載するなどいち早く反応した。

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なぜハチミツに農薬が混入したのか?