「一般人でもジャンルや再生地域によって様々で、1再生あたり0.01~2円程度と幅が大きいです。『芸能人だから優遇される』というわけではありませんが、YouTube側がイメージ向上や訴求力アップを狙って『チャンネルを始めてほしい』と働きかけるケースがあり、その際、好条件を提示されるという話も聞きます」(同)

 例えばランキング1位の中田敦彦が昨年9月20日に投稿した古事記に関する教育動画は20年6月現在、370万回以上再生されている。この動画の1再生あたりの広告収入が仮に1円とすると、単純計算で370万円の収益が発生する。0.1円だとしても37万円だ。実際の収入額は不明だが、中田は100万回以上再生されている動画を100本以上有し、今なお新しい動画を作り続けている。事務所との「取り分」の比率は様々だろうが、中田レベルの実績を残せれば、条件次第では1億円超の収益を得ることも夢ではない。まさに“YouTubeドリーム”だ。

 ただし、知名度に任せた運営をしても再生回数は伸びない。視聴者のターゲットを絞る戦略も必要だ。前出の森社長はこう語る。

「稼ぐためには芸能人うんぬんより、広告単価が高い視聴者層の時間を奪えるチャンネルであることが大切。例えば化粧品は、10代より30代の女性が使うもののほうが高額なので、30代女性向けの化粧品を扱う企業の広告のほうが単価が高くなりやすい傾向です。ライバル企業が多い業種なら、広告枠の競争も生じて単価がより上がるでしょう」

 芸能人のYouTube進出は今後も加速するのか。なーちゃんはこう語る。

「今後は芸能人がチャンネルを持つのが当然になるでしょう。若い世代はテレビを見ずYouTubeを見るのが当たり前ですから、そうした層にアピールしたい芸能人の『テレビ離れ』が起こる可能性があります」

 一方、森社長は、若者が中心だったYouTubeの視聴者層の変化を次のように予測する。

「ユーチューバーの個人チャンネルを登録して見る習慣はこれまで10~20代にしかありませんでしたが、芸能人の参入により高年齢層のファンが流れてきて30~60代の方にもチャンネル登録する習慣が広まる可能性が高い。高年齢層向けのコンテンツを配信するユーチューバーが数字を取りやすくなるとも考えられます」

 今後もさらなる激変が起きそうだ。(桜井恒二)

週刊朝日  2020年7月24日号