「芸能人の参入でユーチューバーへの世間のイメージや認知が向上しますから、良いことと考えています。2~3年前まで『テレビタレントの下位互換』のイメージだったユーチューバーが、先駆者たちの努力はもちろん、芸能人が多数参入したこともあって、テレビとは異なるメディアの一つとして捉えられるようになってきました」

 チャンネル登録者数180万人を超える美容系ユーチューバー「まあたそ」など人気ユーチューバーを抱える株式会社VAZの森泰輝社長は、芸能人進出の流れは必然だとしてこう語る。

「日本ではむしろ、遅かったくらいです。アメリカなど海外のセレブはYouTubeチャンネルの立ち上げを4年以上前からやっていましたからね。日本の芸能人は、一部の成功例が出てきてから後を追うように参入が増えている印象です」

 では、芸能人がユーチューバーになるメリットは何か。考えられる理由の一つは、ファンと直接コミュニケーションを図れることだ。

 俳優の佐藤健のチャンネルではドラマの共演者をゲストに迎えてトークしたり、視聴者の質問に直接答えたりと「素」の顔が見られることで人気を博している。所属事務所のアミューズでは仲里依紗、石田ニコル、三宅裕司などもチャンネルを展開。同社マネージメント情報管理部の担当者はYouTubeについて「所属アーティストが、ファンの方により直接発信することができ、交流もできるメディアとして積極的に活用しております」と語る。

 また、今回のコロナ禍のような平時ではない局面でこそ、YouTubeに利点があるという見方もある。

「芸能人や有名人の方にとっても、テレビ以外の発信の場を持つことは仕事面でもプラスに働くと思います。何らかの事情でテレビに出られない状態となっても、YouTubeで知名度をキープできるのは大きなメリットです」(なーちゃん)

「闇営業」問題による活動自粛後、ユーチューバーとして復帰した宮迫博之などもこの例に当てはまる。

 また、忘れてはならないのは金銭面のメリットだ。YouTubeビジネスの肝は広告収入。動画に差し込まれ、再生回数に応じて報酬が発生する。その単価は俗に1再生あたり0.05~0.1円程度と言われ、芸能人はより高待遇を受けるという話もある。

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