今回の件ではマスク会社にはご迷惑をかけたと思いますし、心からお詫びをしたいと思い、お詫び状も送りました。それでも、「損害賠償を払え。それでお詫びと思うな」と、まったく関係のない人たちからしつこくいわれるわけです。

 ええ、もうそういう人たちは放っておきます。しかし、放っておいてはいけない動きもある。

 自民党の三原じゅん子参議院議員が座長となって、「インターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策プロジェクトチーム」を立ち上げた。5月26日の三原議員のツイッターでは、「これまでも傷ついた方が沢山いらっしゃった事を省みながら、法整備を含めあらゆる施策を取り入れ皆様を守っていきたいと思います」と書かれてあった。その前の彼女のツイッターを読むと、傷ついた方というのはプロレスの木村花さんのことだとわかる。

 しかし、あたしは政府が規制したいのはむしろ、一時、ツイッターのトレンドにもあがった「#検察庁法改正案に抗議します」みたいなものなんじゃないかな、と。この動き、恐ろしくないか?

週刊朝日  2020年7月3日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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