作家の室井佑月氏はSNSがきっかけで生産中止になった「日の丸マスク」について、前回に引き続き解説し、政府の新たな動きについても指摘する。
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先週からのつづき。ネットいじめを受けたあたし。
毎日新聞社のニュース「新型肺炎 医療用マスク、自治体・病院に優先供給 厚労省」という記事に日の丸のついた立派なマスクの写真がついてた。それを見て政府に腹を立てた人がいて、その写真を貼り付けて政府を批判した。あたしはその方の発言をリツイートし、政府批判した。しかし、そのマスクと記事は関係ないとわかり、お詫(わ)び訂正した。2月23日 17:05毎日の記事に日の丸マスクの写真。2月24日 13:30あたしのツイート(TW) 18:10訂正TW。2月25日11:13毎日の記事の日の丸マスクの写真、ウイルスの写真に差し替え。
それに対しマスクの会社は、5月14日「明日はいよいよ大人気のくればぁ日の丸マスク……数量限定販売です!」とTW。5月15日「本日、日の丸マスク……販売をしております。既に完売のサイズもありますが、……お急ぎください」とTW。5月27日「弊社で作っていた日の丸マスクが政府批判のネタにちょうどよかったのか、ボロクソ言われました」とTW。5月28日「#日の丸マスク大変人気でしたが議論のネタにされるのは本望ではないので、しばらく製造休止しています」とTW──それがネットのニュースになり、あたしがなにをしたのかきちんと知らない人々から「室井佑月のデマがマスク会社を廃業に追いつめる」「羽生結弦愛用のマスクを誹謗(ひぼう)中傷」などと拡散され、「もう二度と人前でしゃべるな」などと方々から叩(たた)かれたわけです。
あたしはマスク会社や製品を批判したのではありません。政府を批判したのです。もちろん、写真を誤解してしまったことは申し訳なかったですが、誤解や間違いの可能性をゼロにしろと言われたら、誰も何も言えなくなってしまいます。