医療向けのファクタリング事業を展開している業者はこう話す。

「診療報酬の権利をください、その代わりにタイムラグがなく、すぐに現金が手にできますよという商売。例えば、診療報酬が200万円で、手数料が20%とすれば、40万円が業者の取り分になる。わかりやすく言えば、借金をすれば金利が付きますよね。手数料がそれに該当するという声もある。ファクタリングはいろいろなものがあり、メガバンクも進出しています。診療報酬は国が支払いますから、必ず払ってもらえる。業者にとってはうまみがある」

 神戸市の開業医は資金難の折、医療機器のリース会社からファクタリング会社を紹介され、飛びついた。

「診療報酬のファクタリングで8%の手数料と言われ、高すぎると最初は断ったのですが、週払い、日払いでも現金で受け取れると説明された。例えば、1日で10万円の診療報酬があれば、8千円引いて、現金をくれる。それに飛びついてしのぎました。しばらく後、怖そうな人が受診し、『先生、ファクタリングを続けてもいいし、お金を貸してもいい』と営業してきた。情報が筒抜けなんだなと驚いた。紹介者の医療機器リース会社が裏でファクタリング会社をやっていたことが最近、わかりました」

 この医師の知人の医院はファクタリング会社に資金繰りを相談したら、「2%では審査が通らない、10%です」と言われたという。「知人は高すぎると抗議しましたが、業者が現金を積むと飛びついてしまった。今も10%で続けているそうです」(同前)

 開業医だけでなく、介護業者も悪質なファクタリング業者の被害にあっているという。介護も病院、開業医と同じで、介護報酬を国、国保連合会に請求できるからだ。

「介護の現場は現金が必要なんですね。ネットなどで調べて、1.5%と手数料をうたった業者に連絡をとりました。財務状況などの資料を出して、契約しようとしたら、『財務状況が悪すぎる。保証人か担保が必要』と言いだし、12%の手数料を払うなら金を貸すと言ってきた。うちの場合は週払いで1年ほど続けました。借金はないのに、赤字が続く。知人の資産家にお金を借りて、ファクタリング契約を解消。なんとか、立ち直りました」(被害にあった介護業者)

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