人が消えた夜の銀座 (撮影/矢崎慶一)
人が消えた夜の銀座 (撮影/矢崎慶一)
外出を控えている高齢者や持病がある患者さんに、どんな過ごし方をすればいいかアドバイスを (週刊朝日2020年5月1日号より)
外出を控えている高齢者や持病がある患者さんに、どんな過ごし方をすればいいかアドバイスを (週刊朝日2020年5月1日号より)

 新型コロナウイルスへの対応に追われる医師たち。常に院内感染の恐怖にさらされながら、防御するための備品はどこも不足している。いま医療現場で何が起き、何が求められているのか。優先すべき対策はアベノマスクではない──。本誌は、医師専用のコミュニティーサイトを運営するメドピア社の協力で、1200人以上の医師に緊急アンケートを実施した。

【医師1200人に緊急調査】医療現場で起きている危機、予防策、アドバイスなど…アンケート結果はこちら

 名古屋市内でクリニックを開業する呼吸器内科のA医師(40代)にとって、今いちばん気がかりなのは患者の健康だ。

「例えば、糖尿病患者さんのなかには、スポーツジムが閉鎖されたことで運動ができなくなり、血糖コントロールが悪くなった人も出ています。モチベーションが高かった患者さんほどダメージが大きいようです」

 漠然とした不安を訴える患者も多く、「何を言ってもなかなか……。ただ寄り添うしかないです」(A医師)という。

 そこでアンケートでは感染症による重症化リスクが高い高齢者や持病がある人に向けて、アドバイスを聞いた。

 内容を見ると、出歩かずに室内でできる運動を勧める医師と、「3密」にならないように気をつけながらの屋外運動(散歩など)を勧める医師に大きく分かれた。例えば、屋内派は、「テレビを見ながらでもいいので、少しでも手足を動かして」(愛知・40代・家庭医療)、「屋内でできる下半身の筋トレを」(東京・40代・神経内科)など、屋外派は「朝、夕方の人の少ない時間帯に散歩する」(愛知・60代・一般内科)などだ。

 人とは会わないことを勧める医師も多い。孫と会うのもダメ。ただ、代わりに電話などでコミュニケーションをとることは大事だ。

「マスクを買うために並ぶのは感染リスクになる」(愛知・40代・脳神経外科)と指摘する声もある。また、「新型コロナの報道を見すぎないこと」(静岡・50代・健診)、「コロナ関連のネガティブなニュースは見ない」(兵庫・50代・その他)といったアドバイスにも耳を傾けたい。(本誌・山内リカ、吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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