スポーツトレーナーの坂詰真二さん
スポーツトレーナーの坂詰真二さん

 新型コロナウイルスの感染者数と死者数の増加に伴い、政府や各自治体は外出の自粛を要請している。感染拡大防止のため、「不要不急」の外出をひかえて家で過ごす時間が増え、いつもより運動量が減った、という人は少なくないだろう。

【写真解説 ふくらはぎを鍛える方法はこちら】

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、2011年の東日本大震災の時を振り返り、同じ状況になりかねないと危惧する。

「2011年5月、私たちは福島県飯館村で健康診断を実施したことがあります。毎年検診する人たちの様子を見ると統計的にも有意に糖尿病と高脂血症(脂質異常症)、うつ傾向などの症状が悪化していました。この時は、福島第一原発の事故にともなう被曝への恐怖から家に閉じこもるようになり、生活習慣のバランスが崩れ、運動不足やストレスを感じて、血圧の上昇が見られる高齢者が多くいました」

 感染のリスクが高い場所への外出を避け、感染症にかからないことは第一優先だ。しかし、家に閉じこもってばかりいると、生活習慣病の悪化にもつながりかねない。いまは、不要不急の病院通いも避けたい時期である。特に高齢者の場合、持病の他にも、フレイル(高齢者の虚弱症状)やサルコペニア(脂肪が多く、筋肉が少ない状態)を加速させないために注意が必要だ。

 スポーツトレーナーの坂詰真二氏は、高齢者の筋力低下を懸念する。

「若い人の筋肉量を100%としたら、個人差はありますが、通常の生活でも60歳代で2~3割、80歳以上で4~5割も減ってしまうのです」

 普段よりも活動量が減ることで、特に低下するのが下半身の筋力だ。転倒→骨折→寝たきりという事態になるのは何としても避けたい。

「健康な成人でも、1日中家にいると、普段よりも消費エネルギーは減ります。動いてない分、食べる量を減らして摂取カロリーを抑えたとしても、動かなければ、筋肉の量は徐々に減ってしまいます」

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「コロナフレイル」を避けるために自宅で簡単にできる運動法