己に向き合い、心身を鍛える武術。世界にはまだあまり知られていない武術があり、日本にもそれを広め、極めようとする人がいる。水泳好きの筋トレ嫌いで、体が硬いのが悩み。飲み食いが好きでなかなか痩せられない本誌女性記者(40代)が、様々な世界の武術を体験してみた。
■Kalaripayattu(カラリパヤットゥ=インド)
インド南部のケーララ州に伝わる伝統武術。まずは様々な種類のキックと、象、馬、ライオンといった8つの動物のポーズを習得し、木製、鉄製の武具の扱い方を学んでいく。「インドの深い知識と知恵が詰まっており、合理的な武術。年齢や性別を問わず、どんな人でも心身の鍛錬に生かせます」(CVNカラリジャパン・浅見千鶴子さん)
東京メトロ丸の内線・新宿御苑駅近くのスタジオで開催されている定期クラスに参加した。参加者は約20名で大半が女性。レッスンはベースとなる象や馬などの動物のポーズから始まる。腰を低くする姿勢が多く、これができるようになると、かなりの下半身強化につながると感じた。
続いて、両手を上げて片足立ちになり、片足を後ろに振り上げてから前に蹴り上げるキックの練習をしたのだが、これは情けなくなるほど体がぐらぐらになってしまった。他の人はかっこよく蹴り上げているのに、私はコーチに手で支えてもらう始末……。自分はいかに体幹がないかを実感した。
長く通っている人の動きを見ていると、俊敏で鋭さがあり、すごくかっこいい。ヨガのポージングに似ているが、手を伸ばしたり、足を引いたりする動作は格闘技の攻守の動きに通ずるところがある。同じように体を動かしてみると、「お~、武術やってる!」と気分が高まる。体幹強化や柔軟性向上に効果があることは間違いないだろうという実感も得られた。ヨガを習っていて、興味を持って始めた人も多い。ヨガよりも動きがあるので、ヨガの素養がある人はもっと楽しめるに違いない。