イラストはイメージ(Getty Images)
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親がすべき「15」のこと
親がすべき「15」のこと
子どもがすべき「15」のこと
子どもがすべき「15」のこと

 高齢になれば、何事も面倒になる。ましてや自分の死後のことは後回しにしたい。しかし、子どもが困らないためにも伝えておくことはないだろうか。子どもも、親が生きているからと後回しにせず、不安なことは聞き、感謝の気持ちを伝えよう。今回の死後の手続きシリーズ。お互いに悔いのない終わりを迎えるために必要なことを紹介する。

【チェックリスト】親と子がそれぞれすべき「15」のこと

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 岐阜・下呂温泉の老舗旅館でエステサロンを経営する赤梅由美子さん(55)が母のふささん(享年72)を亡くしたのは7年前。骨髄腫だった。ふささんは夫を亡くしてまもない68歳で発病。それから約4年間、闘病生活を送った。

「一番の後悔は、抗がん剤の副作用で入院生活が長くなり、自宅で彼女らしく生活する時間が少なくなってしまったことです」

 治療は本人の意思を尊重したものだった。それでも、副作用は思った以上だった。下呂市内の自宅から岐阜市内の病院に週1回通うときも、車で片道2時間かかった。

「我慢強い母が、ぽつりと『やらんかったら、もっとうちにおれたかね』と口にしたこともあるんです」

 最終的にやめる決断をした。だが、病院に伝えに行く車中で、ふささんは脳梗塞(こうそく)を起こした。手術したものの、翌朝に帰らぬ人となった。

 赤梅さんは、一軒家に一人残された。今もこう苦しむ。

「あんなふうに亡くなってしまって、母がどう思っているのか……。話すことはできないけれど、もう一度会いたい。ただ、にこにこ笑ってくれるだけでいい。笑った母の顔が見たいです」

 看取(みと)りについて詳しい看護師で、がんで夫を亡くした後に出家した僧侶でもある玉置憂子さんは言う。

「後悔は絶対するもの。なるべくしないようにするには、送る側が『やったよね、わたし』と介護や看護に関する自己肯定ができているかどうかが大きいんです。例えば、年に2回しか会わないなら3回に。連絡も取っていないのならば、電話だけでもするとか。少しでも親とコンタクトを取る時間を重ねておくと、別れた後に、それが財産となって救いになるのです」

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