第三者委員会に差別的な入試を指摘された聖マリアンナ医科大学=川崎市、撮影・多田敏男
第三者委員会に差別的な入試を指摘された聖マリアンナ医科大学=川崎市、撮影・多田敏男
難病治療などにも力を入れている聖マリアンナ医科大学=川崎市、撮影・多田敏男
難病治療などにも力を入れている聖マリアンナ医科大学=川崎市、撮影・多田敏男
医学部における不正入試問題が発覚するきっかけとなった東京医科大学=東京都新宿区、撮影・多田敏男
医学部における不正入試問題が発覚するきっかけとなった東京医科大学=東京都新宿区、撮影・多田敏男
医学部への指導のあり方が問われる文部科学省=撮影・多田敏男
医学部への指導のあり方が問われる文部科学省=撮影・多田敏男
萩生田光一文部科学相は聖マリアンナ医科大学の動きを見守る姿勢だ (c)朝日新聞社
萩生田光一文部科学相は聖マリアンナ医科大学の動きを見守る姿勢だ (c)朝日新聞社

 2018年夏以降に相次いで発覚した医学部における不正入試問題。女性や浪人生らに不利な得点操作をしていたことがわかり、こんな差別がまかり通っていたのかと世間を驚かせた。

【写真】聖マリアンナ医科大学…

 もう過去の話かと思ったら、聖マリアンナ医科大学(川崎市)でも「性別・現浪区分という属性による一律の差別的取り扱いが行われた」ことが、第三者委員会の調査で判明した。

 ところが大学側は、この調査結果の受け入れを事実上拒否。会見を開いて説明することもなく、「一律ではなかった」などとして言い逃れしようとしている。

 自らが依頼した第三者委の結論を、都合が悪いからといって認めないような姿勢だ。さすがにこの“開き直り”には、文部科学省も戸惑いを隠せない。

 私立大学といっても医師を養成する公的な存在で、私学助成金として税金も投入されている。このままでは、受験生だけでなく多くの国民の信頼を裏切ることになってしまう。

 まずは報告書が公表された経緯だ。東京医科大学で不正入試が18年夏に発覚したことを受けて、文科省が全国の医学部を調査。文科省は聖マリアンナ医科大についても、順天堂大や昭和大などほかの9大学とともに、不適切な入試の可能性があるとして、18年12月に名指しした。

 これに対し大学側は、「差別はしていない」などとして文科省の指摘を受け入れなかった。文科省は第三者委による調査を指示し、大学側は19年3月になって委員会を設置。北田幹直・元大阪高検検事長を委員長とし、複数の弁護士らが調査に当たった。当初は19年7月をめどに調査結果を公表する予定だったが、遅れていた。

 大学側は20年1月17日になって、第三者委の調査報告書を公表。それによって、差別的な不正入試が行われていたことがわかった。

 ここからは報告書の内容を詳しく見ていこう。聖マリアンナ医科大の一般入試における女性の入学者の割合は、15年度30.0%、16年度39.4%、17年度31.2%、18年度23.8%。このように、女性の割合は近年、減少傾向だった。

 全国の医学部の入学者数(推薦入試なども含む)における女性の割合は、18年度は平均34.7%。これと比べると、聖マリアンナ医科大の一般入試における女性の入学者の割合は、約10ポイント低くなっていた。

 聖マリアンナ医科大の一般入試の要項では、第1次試験は英語(100点)、数学(100点)、理科(200点)。第2次試験は面接(100点)、小論文(100点)、適性検査(参考)。第1次試験の合格者に第2次試験を実施し、1次と2次の成績に出願書類を総合して評価の上、合格者を決めることになっていた。

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操作された「志願票・調査書」の採点