大学側は取材に対し、追加合格などの救済措置はしないという。

「意図的にやったという認識がないので、追加合格といった事案ではありません。過去の調査書類は全て廃棄しているので、そもそも合否の再判定もできません」(同)

 第三者委の結論は認めないのに受験料だけ返還するというやり方では、不合格にされた受験生の納得は得られそうもない。

 大学側は報告書や見解をホームページで公表したが、記者会見などの予定はないという。受験生らの反発をかわしながら、幕引きを図りたいようだ。

 週刊朝日では18年夏から、差別的な取り扱いがあったのではないかと、入試結果をもとに大学側に問い合わせてきた。大学側は、「公平・公正に判定された結果です」と否定し続けてきた。学内できちんと内部調査し自浄作用を発揮できているのか、疑問が残る。

 大学側には、ほかの医学部に比べ女性を積極的に受け入れてきたとの自負があるようだ。

 推薦入試を含めれば男女の入学者の比率はおおむね男性6割、女性4割。ほかの医学部では男性8割、女性2割前後のところもあるなかで、女性の割合は低くはない。大学の担当者もこう認める。

「推薦入試では、高校時代に成績が良かった女性が有利になる傾向があります。一般入試で採点をする先生に、男性の方を多くとった方がいいという気持ちが働いた可能性はあります」

 全体では男女のバランスがとれていると主張したいようだ。聖マリアンナ医科大に限らず医学部では、一般入試で現役男子が優遇されるのは「公然の秘密」とされていた。

 それでも、志願票・調査書に大きな点数を割り振り現役男子を優遇するやり方は、入試要項にも示されておらず、世間の理解も得にくい。一般入試のペーパー試験で頑張った女性や浪人生は、裏切られたようなものだ。

 大学側が強気なのは、文科省の腰が引けたような対応もある。文科省の担当者は、次のように大学側の対応に疑問を示すが、最終的な判断は大学側に任されているとする。

「聖マリアンナ医科大は、自ら不適切な入試だったとは認めていません。文科省としては、社会に納得してもらえるよう、丁寧な説明をするように求めていく。受験料の返還などは、不利益を被った人の立場にたって対応するように伝えているが、最後は大学側の判断です」

 萩生田光一文部科学相は、1月21日の会見でこう発言した。

「大学としての受け止めや、そのような見解に至った理由を、社会に向けて丁寧に説明することが必要と考えている。文科省としても、大学側からしっかりとした説明を今後とも求めていきたい」

次のページ
文科省は私学助成金の減額検討も、当面は見守る姿勢